10年前の長期停滞。

某格付け大手でフランスを含む9カ国の国債格下げがなされた今日この頃。
最近の欧州危機が分かりやすーく書かれている本とかない?と父親に聞いてみたところ・・・「そんなもん、ない」、と言われた5分後、とりあえず引き合いに出された本。

長期停滞 (ちくま新書)

長期停滞 (ちくま新書)

経済用語バリバリなので、グーグル先生やウィキ先生片手に読むとよく分かると思われます。
ほとんど片手にしなかったけど・・・。


そもそもこの本自体、ブックオフで\105で買ってこられたことが如実に表しているように、出版されたのが2002年。今から丁度10年前になる。
10年前といえば・・・不況の中大学を卒業する頃で、当時ではかなりひどい就職率の低迷となり、こんな景気の中社会に飛び出すなら、院に行って景気回復を待ったほうがいいよ!とうそぶいていた頃。今はもっとひどいっていうんだから、考えれんなー・・・。


閑話休題
議論を戦わせている本なので、論理的なところは結構長し読みしてたり。
いつものように、なるほどうと思ったところは・・・。
・これまで直接経験したことのない出来事が起きているのなら、「現在」でさえ理解することは困難だ。だとすれば、過去に似た現象が起きた時代をたどり、何が同じで何が違うかをつぶさに観察することから始めなければならない。歴史は繰り返すというが、同じようで決して同じではないからだ・・・本著の中では、度々主張される事項。市場原理主義者、とかいうものを信望している人達を批判しているらしい。
個人的には、科学方面で、温故知新という響きはあまり好きではないのだけれど。考えに考え尽くして、行き詰ったなら、必要になるのかもしれない。
・主流経済学では、あらゆる物事を瞬時に合理的に判断できる人間が前提。物理でいう、剛体、みたいなもんか。
・90年代の国際金融危機アメリカが、新興工業国に金融自由化を迫り、金融市場を食い荒らす。それがアメリカの株式市場に跳ね返ってきて暴落する。行き場のなくなった投機マネーは結局アメリカに戻ってきて、アメリカのバブル経済が維持される。「安全な」投機先として残るのは、アメリカという。この構造、色々今の状況に通じる所があるのかも・・・。
・02年の話。銀行の決算に「国際会計基準」の時価会計主義が本格適用された。銀行の株式が時価で査定されるので、含み損が発生するとその6割を「損失」として会計に計上する必要があるため、銀行の利益が縮小し、自己資本比率が低下して信用が損なわれやすくなる?下手すると赤字決算になり不良債権処理ができなくなる。
・主流経済学は、供給サイドにおける規制緩和政策しか処方箋がない。しかし、デフレスパイラルの状況ではさらにデフレを強めるだけ。
コンドラチェフの波は長期波動。



・・・。
欧州危機は、あまり理解できなかったな。