オマエとオマエは変則事象だ。(科学的な意味で)

いよいよ飛び石書き込みどころではない本Blog。
今回はなかなか進まない読書本ネタ。


既に研究生活から離れ、5年目となる訳です。
やってきた仕事も研究なんつーもんとはかけ離れ、徐々に物理のことなんぞは忘れていってしまいそうな日々。
しかしやはり、ここはDCの意地といいますか、たまには科学本なんぞを読みながら、知識力低下の防止に努めようとする訳です。


結構以前にも書きましたが、なんかここんとこしばらく、革新的な科学の発見みたいなものってないように思っています。文化的な生活をしている世界でネットが社会常識的なものとして広まったりはしましたが、それはいわば科学応用分野でのデバイス小型化やネットワークグローバル化であって、根本的な物理法則が変わった訳ではないように思うし。
そういう意味でのパラダイムシフトって、長いこと起こってないですよね。安定しちゃってる気がする。

こういう安定が覆るときっていうのは、研究者枠の外での小さな発見だったり、外因だったり、ある分野内での常識からは外れているせいで、無視されている現象の研究だったりしうる訳です。
「おかしいぞ・・・?」と思ったことを兎も角徹底的に追求する。これはほんとはとても大事だな姿勢だと思うんです。が、世の中お金がからむと、成果主義に走ってしまうんですよね。カネにもならんことにカネはかけられない、ってか。
で、最近読み終えたこの本は、無視されている科学現象、すなわち非正則事項=変則事項、英語で言うanomalyな現象にスポットを当て、なぜ変則なのかを説明し、そして今どういう扱いになっているのかを著者が体当たりで取材したことをまとめています。

まだ科学で解けない13の謎

まだ科学で解けない13の謎

量子物理学のドクター持ちが書いているので、いわゆるトンデモ科学本ではないと思っています。まぁ、最後の2つの謎(プラシーボ効果ホメオパシー)は、読んでみても、科学的な意味でどうだかなーと思いましたが。


で、なるほどポインツ。
常温核融合は過剰熱の発生の計測で調べられていた。影響力の高いMITの研究者らが再現実験を行ったとき、確かに予想以上の熱が発生した。しかし「過剰熱だけでは決定的な証拠とはいえない」という理由で過剰熱の発生がないものに差し替えられていた。結局告発でMITの報告書には補遺が付け加えられることになったが、調査報告書には何の変更もなかった。ちなみに、熱量測定それ自身は、今日でもあまりあてにならないらしい。
・あるシステムが相互に作用し合う数多くの要素から成り立っている場合、そのシステムは思いもかけないような形にみずからを組織する。しかし、「組織化の原理」を見つけ、ひとまとまりのルールとして、類似の複雑なシステムの分析に参照できるかもしれない。
・火星の生命探査は、ごく短期間の、一回限りの機会だったようだ。ほぼ全ての合理的な尺度から判断すれば、人類は火星に生命をみつけたけれど、再度は目にしていない。うーん、微妙。
・生命体の存在する惑星の探査の分野で、生存に最適と思われる環境の範囲のことを「ゴルディロックス・ゾーン」というらしい。
・正常な細胞は、50回程度までしか再培養できないらしい。
・水はとりわけ奇妙な物質で、その変則事項は少なくとも64個はあるらしい。


このくらいかなぁ。
なんというか、結論を出すのにリスクがからんでくるから再検証ができなかったり、測定そのものが曖昧な手段でしかできないから、再現できたできてないの水掛け論になってたり、人間くさいのはいいけど、科学の発展を阻害しまくってますなー。
いまいちスッキリしないかも。

※追記(10/08/25):
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100824-00000121-jij-soci
ホメオパシーが学術会議で否定されました。