心の暗黒に迫るにはちょっとベタな感じもしたけど

ピギー役がハマってそう

少年文学として、さらりと読んでしまえば、それだけなのかもしれない。
でも、対立が始まってからの内容の深さは計り知れない。

蠅の王 (新潮文庫)

蠅の王 (新潮文庫)

特に言いたい内容は、本当に終盤60ページかそこらの急激で殺伐とした展開の部分なんだと思うけれど、それにしてはちょっと、前半がやたらと冗長すぎる感じもしたような。
始めにラーフが隊長の権利を取得した後、だんだんとジャックとの対立が激しくなってくるのは理解できる。それでも、あれだけ人望を集めていたラーフが、ジャックが言った豚の肉のみ如きで、いとも簡単にほとんどの少年から離反されてしまうものなんだろうか・・・?ありえない、とまではいかないけれど、状況的にレア・ケースなんじゃないかなぁ。狩りは別にラーフがいずれやっただろうし。
つーか、ピギーがああなっちゃう必要はあったのか?っていう。サイモンとほら貝だけで良かったんじゃないの?最後のアクション部分で邪魔だったから?
偉そうに言うと、漂流記と深層心理とアクションが、中途半端に組み合わさった感じ。心の闇に捕らわれていく心理が書きたかったのなら、もうちょっと直接か間接な解説的描写があってもいいんじゃないのかなぁ、分かりにくい。


それから個人的には、城岩(カッスル・ロック)やその周りの岩の状態や、ラーフが潜んでいるときの体勢・状態が非常につかみにくかったなぁ・・・。城岩周辺でのやりとりとか、結構重要なのにね。


帯に、「未来への警告が込められた人間社会の縮図!」って某海南江さんのコメントがあるけど、ちょっと言いすぎ?
Amazonで検索して、DVDまで出てる作品だと知ってみたり。
んー、ちっちゃいからよくわかんな〜い。