twistorとtwister

根本的なところは、非っ常にむずかしい本でした。

買ったのはもう、はるか昔の3月。
読む本がなくなった際、まとめ買いした4冊の本のうち、ラストです。
丸善にて、なんということはなく理工系コーナーをぶらっとしていたとき、前に出して並べてあった本でした。
パラパラっとめくってみた所、量子論の認識に関する問題や、相対論と量子論の統合に関するような話題が読めそうでしたので、復習がてら買ってみました。


実際読んでみると、ペンローズという人名やツイスター理論という名前は、過去おぼろげーに聞いたことはあったので、良い勉強にはなったと思います。もっと、ツイスター理論での時空と複素空間の話をゴテゴテと書いてもらった方が個人的には嬉しかったのですが、大半は量子論と意識に関する話を土台にした流れでした。
しかしまぁなんというか。最後の方は、ペンローズが書いた『心の影』に対する数人の批判者への、返答が書いてあったのですが・・・。
論理学的な話の部分になると、なんというかややこしすぎて、自分では理解が追いつきません・・・。専門用語がよく理解できてないのもあるし、記号を使った議論の方法にも、慣れていないという点があるのかも。勉強してみるのは面白そう、と興味はわきましたが、常にこの思考で生きていたら、ものすごく面白みのない人間になりそう。
脳神経のような生物学的な話もまぁ完全に専門外な訳ですが、これは前半部の説明が結構よく分かったので、それ程読むのに抵抗はありませんでした。


さて。
何にせよ、理解できた範囲内に限っても、とても興味深い考え方を得たという認識はあります。
勿論、まとめた流れの文章で書く自信は全くないので、箇条書き。

計算不可能性

計算不可能なプロセスが実行できる「意識」を、計算可能なプロセス・アルゴリズムで成り立つAIが持つことはありえない。

脳と意識と量子論

計算不可能なプロセスを実行できる脳内には、それを実現できる部位が存在するはず。計算不可能なプロセスの実行には、現在の物理学で考えうる限りでは量子論的なプロセスが関わっているはず。様々な条件を加味して、それができ得る組織はマイクロチューブルである可能性が高い。

意識と科学と宗教と

科学と宗教は、意識や心を対象として説明する場面では共に出てきうる。しかし宗教の場合、その中の「概念」「教義」は絶対であり、新たに何かを取り入れようとすると異端視されうる。しかし科学は違い、変化に対してオープンであり、一定の手続きにさえ則ってさえいれば自分の概念の中に取り入れられ、進化しうる(これをメタ概念という)。したがって、意識の問題を解きうるのは科学であろう。

量子重力理論への期待

現段階で量子論と意識の関わりを説明するには、量子論がマクロなスケールとミクロなスケールの関係に不備を持つ理論であるので、この点の理解が進まないとマイクロチューブルで意識が発言するかどうかの結論を完全には下せない。しかし、マクロとミクロを結びつけること自体が現在の物理学における困難極まりない課題であり、革命的な概念の変化を期待したい。


・・・なんかこれだけを見ると、マイクロチューブルに関する当たり、かなり怪しいなぁーと思えるところを物理の統一場の理論にぶつけちゃって逃げているような印象を受けるなぁ。
でも、量子論の観測の問題を、観測を行う人間の脳にまで踏み込んで追求しているのは非常に面白かったデス。