やはり基本は政治批判

だいぶ時間をかけつつ、読み終えたのはこちら。

読売新聞朝刊一面コラム「編集手帳」〈第18集〉 (中公新書ラクレ)

読売新聞朝刊一面コラム「編集手帳」〈第18集〉 (中公新書ラクレ)

いわゆる、新聞1面コラムの読売版ですね。ちっちゃい頃は、これが論説だと勘違いしていた青い思い出。
んでも、7、8割方政治批判で帰結してるから、なんとなく勘違いしても仕方ないのかも。
そういえば、朝日の天声人語は、日本語・英語対照版みたいのがありましたね。英語を読んでから日本語で文脈を確かめるとかやると、英語の勉強やリハビリになるかもしれません。


勿論文章は短く、見開きで完結するので、ショートショートの小説のように読めます。
本数は結構あるので、読み終わるのには時間がかかりました。今回読み終えれたのも、確定申告会場で2時間待たされたからだしなぁ。
最終的に、一話完結型に飽きてきたりして。もとい、政治批判帰結に飽き飽きしてきたり。


この本の場合、いつものなるほどポイントというより、日本語って面白いなぁと思わされるケースが色々ありました。
・胎児を包む膜を「胞衣(えな)」という。地方によってはこれを土に埋め、父親がこれを踏む。一番初めに踏んだ人をその子を怖がるという言い伝えらしい。ある落語では、親が踏む前に「クモがシューと」踏んでったそうな。
・「大阪本町糸屋の娘・姉は十六、妹は十四・諸国大名は弓矢で殺す・糸屋の娘は目で殺す」。そういえば、こんな歌あったなぁ、的な。声に出して読みたい日本語?
・「蜆殻火水」は、「青椒肉絲(チンジャオロースー)」や「回鍋肉(ホイコーロー)」みたいな食いもんではない。「シェル石油」のこと。
・普通に炒めるのは「炒(ちゃお)」、強火で一気にいためるのは「爆(バオ)」、揚げてから煮るのは「烹(ポン)」.
助六すしは、歌舞伎の「助六」に登場する遊女「揚巻」にちなんでいる。「揚げ」がいなりで「巻き」がのり巻き。
助六の啖呵として「鼻の穴へ屋形船ェ蹴込む(けこむ)ぞ」がある。粋だなあ。今度使おう。
サルバドール・ダリのピンと上を向いたひげは、宇宙と交信するアンテナらしい。
・「六円く四八は瓜子(うりざね)五と七は卵型にて九ツは針」。猫の目の瞳孔から時刻を割り出すコツの歌。豊臣秀吉朝鮮出兵では、時間を知るために猫を連れてったらしい。
・「庭に水、新し畳に、伊予すだれ、透綾(すきや)縮みに、色白のたぼ」。涼しい物を並べた江戸期の俗謡。「透綾」はきわめて薄い絹の縮み織り。「たぼ」は、日本髪の後ろに貼り出した部分で、転じて若い女性のこと。
・「暮しは分が大事です・気楽が何より薬です・そねむ心は自分より・以外のものは傷つけぬ」。堀口大學の「座右銘」。
・大相撲の番付には「蒙御免」と書いてあり、ごめんこうむる、の意がある。お奉行の許可なしには興行できなかった名残。この当時のコラムのネタは、野球賭博問題。今は八百長問題だけどねぇ。

大分ピックアップしちゃったな。
ちょっとした面白い豆知識みたいなものから始まっても、結局政治批判に帰結しちゃうとなんだかなぁと思う今日このごろ。