超断続的読本
今回はこちら。
- 作者: 稲垣太郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/01/17
- メディア: 新書
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このような、無料配布されている冊子=フリーペーパーについて、主に広告費用だけで、どのように製作から印刷・配布までをまかなっているのか、興味がありました。
正直に申し上げますと・・・。
仕事が忙しすぎて、あまりにも断続的に読んだので、あまり頭に残ってないのよね(´Д`;)ヾ
てことでいつも通り、個人的ななるほどポイントまとめを。
・20歳から34歳までの男性群は、ネットの調査によると、可処分所得が多い割にテレビも新聞も読まないのでアプローチしにくい。別の調査によると、同群の5割は、新聞を読まなくてはいけないと思いながら、実際は読めておらず、一方でそのことに不安を感じている。*1
・電通によると、2006年のマス4媒体の広告費は3.6兆円と二年連続減少、新聞広告は1兆円を割り込む。一方、折り込みチラシは4800億円の着実増加、インターネットは3600億円と1.3倍の伸び率。
・新聞社が広告主に広告効果をアピールする方法は、広告接触率・広告注目率がある。ある広告についての聞き取り調査で、なんとなくでも見たことがあると答えた人数を回答者数で割ったものが広告接触率。確かに見たと答えた人数を、新聞を持っていると答えた人数で割ったものが広告注目率。*2
・フリーペーパーの役割は、将来的には、読者の潜在ニーズを引き出すもの、フッカーとしての役割を持ちうる。ドンキの圧縮陳列から、自分の欲しいものを見つけ出すような楽しみがある。
・紙面の質をめぐる競争で、一都市圏の市場では二紙が限界と考えられている。一紙が利益を出し、二紙目がプラマイギリギリ。他はピンチ。(スペイン日刊紙協会会長談なので、日本の特異性によりどう考えるべきかは不明だと思いますが。)
・海外で浸透している日刊無料紙「メトロ」を目指し、日本で出した日刊無料紙として「ヘッドライン・トゥデイ」があった。しかし、既存の新聞社とその恩恵を受けている関係会社からかなり圧力を受け、国内の通信社から記事を得る契約ができず、外電ばかりの内容になった。個人的には、この本に載っているサンプル写真上の見出し「これがM・ジャクソン最近撮」に吹いた。どこの海外ゴシップ新聞だよ!ちょっと読んでみてぇ。
フリーペーパーの現状とその主な収入源である広告費推移関連の話、海外で流行っているメトロ系日刊無料紙とそれを日本で試みた話、今後の見通しとその役割などなど。店頭や駅に控えめに置かれていたり、たまにポストに入っているような、イマイチ日本の無料紙の自己主張する存在感がない理由が分かります。
経営的な意味でのフリーペーパーの話としては、高校生がフリーペーパーの株式会社を作って運営してみた話が、一読の価値ありです。*3
新聞もネットのせいで広告費ガタ落ち、その上紙自身の売り上げまでフリーペーパーに削られるんじゃ、もう儲け口が極度に狭まる一方。圧力もかけたくなりますわね。
公正なジャーナリズムを維持するための、必要悪なんだろうかなぁ。